2006年 06月 28日
セントラル・パークでシェークスピア |
話はちょっと古くなるが、6月16日に、セントラル・パークにある野外劇場で「マクベス」を見た。
夏になると、ニューヨーク市内各地で無料のコンサートやパフォーマンスが数多く開かれるが、これは、Shakespeare in the Parkというプログラムで、創始者は「コーラス・ライン」などで知られるカリスマ・プロデューサーのジョゼフ・パップ。2本の芝居(少なくとも1本はシェークスピア作品) が、6月半ばから9月初めまで、セントラル・パークの中にあるデラコルテ劇場で上演される。なかなか劇場に足を運ばない人、チケットが買う経済的余裕がない市民にも演劇、特にシェークスピア作品に親しんでほしいという目的で、入場料は無料。座席指定の入場券は、市内数カ所で上演日の午後1時から配布される。枚数には限りがあるので、人気作品になればなるほど、早い時間から列ができる。
今までに、この劇場で、ケビン・クライン、ミッシェル・ファイファー、デンゼル・ワシントン、ジェフ・ゴールドブーム、デビッド・ヘミングスなどが出演する作品を見たが、もっとも印象に残ったのは、数年前に上演されたチェーホフの「かもめ」。演出はマイク・ニコルズ、出演者がメリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・カフマン、クリストファー・ウォーケン、ナタリー・ポートマン、ケビン・クライン、マーシャ・ゲイ・ハーデンなど著名俳優とあって、話題沸騰。各入場券配布場所では前の晩から列ができ、ダフ屋での価格は$200以上になった。毎日、列に並んで入手した入場券(ひとりにつき2枚くれる)を売りさばいて、学費の足しにしている学生もいると報じられた。
私は、クライアントのためにダフ屋から入場券を入手した友人から、クライアントが行けなくなったとかで、入場券をもらって見た(なんという幸運!)。
そして、この「かもめ」は評判にたがわぬすばらしさだった。
芝居は映画と異なり、クローズアップが見れない。よっぽど小さな劇場か、前の席で見ない限り、その設定世界の中に入り込みにくい。役者をリアルに目の前で見ている分、役者の“舞台での”演技力がないと、白けきってしまうことが多い。舞台セットや照明が奇抜なシュールな作品なら、それなりに演劇体験は楽しめるが、キャラクターが大きな役割を持つドラマ作品では、同じ原作でも、出来は役者の演技力に左右される。
私たちの席は、舞台からかなり遠かったにもかかわらず、芸達者な出演者のおかげで(そう、なぜかこの作品ではかわいそうなほど貧相だったナタリー・ポルトマンを除き、彼らはすぐれた舞台俳優であった)、観客はすんなりと、メランコリーな、ロシアのストーリーに入りこむことができた。非常に感動的なお芝居だった。特に、メリル・ストリープとフィリップ・シーモア・カフマンの演技は抜きんでていた。デラコルテは、野外劇場なので、ステージの背後に夜空が見え、ときには風も吹いたりして、ライブ感覚が満喫できるのだが、叙情的なこの作品にはパーフェクトな空間だった。
で、遅くなったが、今年の「マクベス」。開演したばかりだったせいなのか、えらく、つまらなく、ダレた芝居だった。出演者たちは、自分の台詞をしゃべるのに精一杯という感じ。下手な学芸会を見ているようでがっかりした。途中で出ようかと思ったほど。ただ、マクベスを演じているリーブ・シュライバーは、映画で見るよりもはるかに堂々としてセクシーで、軽量級ながらも、王の風格はあった。
ちなみに、8月に上演されるのは、ブレヒトの作品で「Angels in America」のトニー・クシュナーによる脚色。主演はメリル・ストリープ。早い時間に並ばないと、入場券は手に入らないだろう。
夏になると、ニューヨーク市内各地で無料のコンサートやパフォーマンスが数多く開かれるが、これは、Shakespeare in the Parkというプログラムで、創始者は「コーラス・ライン」などで知られるカリスマ・プロデューサーのジョゼフ・パップ。2本の芝居(少なくとも1本はシェークスピア作品) が、6月半ばから9月初めまで、セントラル・パークの中にあるデラコルテ劇場で上演される。なかなか劇場に足を運ばない人、チケットが買う経済的余裕がない市民にも演劇、特にシェークスピア作品に親しんでほしいという目的で、入場料は無料。座席指定の入場券は、市内数カ所で上演日の午後1時から配布される。枚数には限りがあるので、人気作品になればなるほど、早い時間から列ができる。
今までに、この劇場で、ケビン・クライン、ミッシェル・ファイファー、デンゼル・ワシントン、ジェフ・ゴールドブーム、デビッド・ヘミングスなどが出演する作品を見たが、もっとも印象に残ったのは、数年前に上演されたチェーホフの「かもめ」。演出はマイク・ニコルズ、出演者がメリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・カフマン、クリストファー・ウォーケン、ナタリー・ポートマン、ケビン・クライン、マーシャ・ゲイ・ハーデンなど著名俳優とあって、話題沸騰。各入場券配布場所では前の晩から列ができ、ダフ屋での価格は$200以上になった。毎日、列に並んで入手した入場券(ひとりにつき2枚くれる)を売りさばいて、学費の足しにしている学生もいると報じられた。
私は、クライアントのためにダフ屋から入場券を入手した友人から、クライアントが行けなくなったとかで、入場券をもらって見た(なんという幸運!)。
そして、この「かもめ」は評判にたがわぬすばらしさだった。
芝居は映画と異なり、クローズアップが見れない。よっぽど小さな劇場か、前の席で見ない限り、その設定世界の中に入り込みにくい。役者をリアルに目の前で見ている分、役者の“舞台での”演技力がないと、白けきってしまうことが多い。舞台セットや照明が奇抜なシュールな作品なら、それなりに演劇体験は楽しめるが、キャラクターが大きな役割を持つドラマ作品では、同じ原作でも、出来は役者の演技力に左右される。
私たちの席は、舞台からかなり遠かったにもかかわらず、芸達者な出演者のおかげで(そう、なぜかこの作品ではかわいそうなほど貧相だったナタリー・ポルトマンを除き、彼らはすぐれた舞台俳優であった)、観客はすんなりと、メランコリーな、ロシアのストーリーに入りこむことができた。非常に感動的なお芝居だった。特に、メリル・ストリープとフィリップ・シーモア・カフマンの演技は抜きんでていた。デラコルテは、野外劇場なので、ステージの背後に夜空が見え、ときには風も吹いたりして、ライブ感覚が満喫できるのだが、叙情的なこの作品にはパーフェクトな空間だった。
で、遅くなったが、今年の「マクベス」。開演したばかりだったせいなのか、えらく、つまらなく、ダレた芝居だった。出演者たちは、自分の台詞をしゃべるのに精一杯という感じ。下手な学芸会を見ているようでがっかりした。途中で出ようかと思ったほど。ただ、マクベスを演じているリーブ・シュライバーは、映画で見るよりもはるかに堂々としてセクシーで、軽量級ながらも、王の風格はあった。
ちなみに、8月に上演されるのは、ブレヒトの作品で「Angels in America」のトニー・クシュナーによる脚色。主演はメリル・ストリープ。早い時間に並ばないと、入場券は手に入らないだろう。
by nyfilmetc
| 2006-06-28 21:33
| 演劇